カラダに埋め込む感覚が好きで、アクセサリー嫌いの私もピアスだけは好きでした。
でも、この年齢まで生きてきたなかで幾度も男性との別れを経てきて、もう自分をジュエリーで飾るのは辞めよう・・・そう思って、1年前に持っていたピアスの殆どを処分してしまいました。
そんな殺伐とした生活を続けるうちに、図らずもまた恋に落ちてしまい(苦笑)、そのお相手の彼には諸々の事情があって、他人の目を気にせずに逢うこともままならない関係となってしまいました。
連絡したくても、こちらからは限られた不確かな手段でしか連絡が取れない・・・そんな不安な私の心情を察してくれたのでしょう、彼が私にピアスを作ってあげよう、と言ってくれたのです。
いつも耳に彼の存在を感じていられたら、少し癖のある彼の声さえもいつも耳元で聞こえてくるような、そんな思いつきに私も嬉しくて、すぐにインターネットでオリジナルジュエリーを作ってくださる方を探しました。


何件か候補の挙がった中で、n@tsukoさんのページは、HPの雰囲気といいジュエリーのデザインといい、また実際に作られた方々のメールなども拝見し、まさしく「この方に作っていただこう!」と決めたのでした。
素材はプラチナと彼と私の誕生石であるエメラルドを大小2つ(彼と私という意味で)。
彼の片割れという私の存在を象徴するために、敢えて片耳だけ作っていただく事にしました。
彼のイニシャルを、出来るだけ判読できないような書体で(寂しいですが誰にも知られては困る関係故・・・私と彼だけがわかっていればそれでいいと思いました)彫っていただく、予算は特になし、というオーダーで、n@tsukoさんにメールでお願いしました。
それから何度かメールのやり取りをして、実際にお逢いしてデザインを決めたとき、n@tsukoさんの雰囲気、佇まいが私の印象どおりで、この方ならきっと素敵なピアスを作っていただける、と直感しました。

 

出来上がるのを待つ時間も、私にとっては楽しいものでした。
でも一番わくわくしたのは、小箱に入ったピアスをn@tsukoさんから手渡された時でしょう。
そっと蓋を開けると、イメージどおりの可愛らしいピアスがちょこんと綿にくるまれて入っていました。
実はその日の夜、彼との密会の予定があったので、無理を言って朝早くにn@tsukoさんと待ち合わせさせていただいたのです。


おかげさまで、その夜、ピアスは無事に彼の手で私の左耳につけられました。
彼も緊張していたのか、なかなか耳に通す事ができなくて、なんだか可笑しかったのが印象的でした。
そのピアスはそれからずっと、外すことなく私の左耳に光っています。
逢えなくても、声が聞こえなくても、そっと指先でピアスに触れるだけで、彼の指の感触や声を鮮明に感じることができます。


こんな素敵なピアスを作ってくださったn@tsukoさん、職人の方々、本当にどうもありがとうございました。
今度はなにかの記念日に、おそらく指環をオーダーさせていただく事になると思います。
そのときはまたよろしくお願いいたしますね。
久しぶりの恋に彩りを添えてくださったn@tsukoさんとこのピアスに、とても感謝しています。

 

(港区 S.Y.さん 35歳 自由業)


わずか4mm×8mmの小さな場面に、これほどの思いを詰め込めることができるのは、ジュエリー以外には考えられないのではないでしょうか。
あたかも肌の一部のように着けられたピアス・・・。
お送りいただいたお写真を拝見して、デザイナーになったばかりの頃の初心が思い起こされました。
すてきなご依頼を、本当にありがとうございました。
    by n@tsuko